LOVE PORTION



 01







 ―――――上手く言葉には出来ないけど、ずっとずっと、伝えたいことがある。



 例えば、彼の顔を見るだけで気分が弾んでくること、とか。

 声を聞けただけで、心臓がいちいち跳ね上がって音がうるさくなること、とか。

 ふと顔を上げたら、彼も此方を見ていて視線が合わさった時の息が詰まる感覚、とか。

 癖のある薄茶の髪が跳ねた後ろ姿を見かけた途端に、胸がぎゅっとなって抱きつきたくなる衝動、だとか。


 たまにしか見せてくれないけれど、ふわりと力を抜いて、唇を軽く吊り上げて笑う表情を浮かべてくれた時―――――だとか。


 すごくすごくすごく、幸せな気持ちになるってこと。


 ずっとずっと、見ていたいって。
 いつまでだって見てても飽きないくらい、満たされた気持ちになるんだって。


 そういうのを伝えたい。



 だけど、でも。


 自分はあんまり、そういうのを人に伝えることは上手くないらしいから。

 まして彼はきちっと説明しないと、すぐ機嫌悪くなってしまう性格だから。

 そう考えるとちゃんと伝えられる気がしない。



 だけど、伝えたい。
 何故かは良く分からないけど。

 でも何故だろうか―――――彼には、伝えなくちゃいけない気がする。



 ―――――どうしてだろう?











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