『君のためなら世界だって壊してあげる』 ACT 17 『交差した道の行方 −10−』 ―――――─今でも、インガはハッキリと覚えている。 アルヴィスの姿を初めて見た時の事を。 高校に入学したばかりで、部活動の見学をしていた時のことだ。 正直、弓道なんて詳しい知識は一切無かったし興味もなかったというのがその当時のインガの印象である。 けれど、気紛れに弓道場を訪れて。 そこで、見つけてしまったのだ―――――──アルヴィスを。 道場の中程にスッキリと立ち。 背筋を伸ばし長弓を構えるその華奢な姿が、とてもキレイだった。 白の着物に紺袴姿の彼は、ただ真っ直ぐ一点を見つめ。 ―――――弓を引いていた。 その白い横顔はインガが今まで見たことも無い程に整っていて、思わず目を奪われたのである。 長い睫毛、通った鼻筋、引き結ばれた形良い唇。・・・・けれども一番惹き付けられたのは、彼の眼差しだ。 一心に的を見つめる真剣な色。 まるで視線で的を射抜こうとするかのような―――――・・・・熱くて真摯で、僅かな曇りも存在しないかのような澄んだ瞳。 その鮮やかな強い光りを宿した青い目に、自分こそが射抜かれたいような、そんな衝動を覚えたのを覚えている。 黒髪に白い肌が映えるそのキレイな彼が、弓道部に所属する一つ上の先輩なのだと判明した途端、現金にもインガは引き寄せられるように入部を希望していた。 それから、二年間。 アルヴィスとは部の先輩後輩という間柄で、それなりに話すようになった。 基礎も何も知らなかったインガに、アルヴィスは丁寧に和装の着付けから弓の引き方、的の狙い方などを指導してくれた。 自分にも他人にも厳しい彼は、決してインガ達後輩に怠けたりする事は許さず時には叱責する事もあったが、頑張っている者はきちんと評価してくれた。 厳しいけれど、優しくて。 どちらかと言えば口数が少なく表情もあまり変えないけれど、それは単に照れ屋で人見知りだからで。 整いすぎた顔のせいか冷たい印象を持たれがちだけれど、実はとても素直で情に脆く、他人を信じやすい性格で。 最初は外見のみからアルヴィスに惹かれたインガだったが、彼を知れば知るほどインガは自分が彼に惹かれていくのを感じていた。 1歳、年上だけど。 弓道の腕前はまだ全然追いつけないし、成績だって優秀な彼だけど。 真面目で学術熱心で、恋愛面には全く無頓着で、全然自分の気持ちになど気付いてはくれていないんだけれど。 それでも。彼を目で追い・・・慕う事は止められなかった。 部活の帰り、インガとアルヴィスは良く一緒に帰った。 アルヴィスは電車通学だったから、自転車通学だったインガが駅まで乗せて行きますなどと理由を付けて。 本当は駅とインガの自宅は逆方向だったのだが、そんな都合悪い話は勿論伏せて、アルヴィスを送り続けた。 そうでもしなければアルヴィスにとって、本当に単なる後輩の1人で終わってしまいそうだったから。 部活の時は先輩としての立場を決して崩そうとはしないアルヴィスだったが、制服に着替え駅へ向かう迄の時間は、とても気さくに話してくれた。 勉強のこと、進路のこと、・・・・・・大切にしているらしい家族のことや、とても懐いていたという幼なじみのことまでも。 決して自惚れなどでは無く、自分の事を気に入ってはくれていたのだと思う。 アルヴィスは他人と一定の距離を置きたがる性格だったが、一度打ち解けてしまえばとことん相手を信用してくれるらしく、インガにも随分と色々話してくれた。 時には寄り道して、途中で菓子やジュースなど購入し公園でずっと喋り込んだ事もあったくらいだ。 インガと同じ制服に身を包み、快活に笑っていたアルヴィスのキレイな顔は、今でもしっかりと記憶に焼き付いている。 それが、―――――─何故? 無事大学に合格し卒業していった彼との再会があんな場所―――病院内――─だったのは、インガにとって本当に驚愕する出来事だった。 たまたま虫垂炎で入院した同級生・・・彼も自分と同じくアルヴィスの元・後輩であるが・・・を見舞いに行って。 そこで、まさか憧れだった彼に逢うなんて。 しかも、エレベーターホールの窓際で蹲り酷く具合が悪そうな人が居ると、心配して声を掛けたらアルヴィスその人だったのだから。 インガは、美しさ自体は少しも損なわれてはいなかったものの、アルヴィスの憔悴ぶりに酷く驚く羽目になった。 元々白かった肌は、蝋細工みたいに透き通るような青白さで。 抱き留めた身体は、皮膚のすぐ下に骨の形がハッキリとわかる程に筋肉が落ちて。 人形みたいに小さかった顔は、ますます小さく。 首など、インガの片手で簡単に縊り切れそうなくらいに細い。 元より身長はそれなりだったが肉付きは薄く、かなり華奢な体格ではあったけれど――――・・・・更に一回り以上痩せたと感じた。 しかも、具合が悪くて思考がハッキリしないらしく、しきりに譫言のように意味の繋がらない言葉を口にしていた。 それなのに、インガは再会できた嬉しさと、アルヴィスの余りの変わりように驚きすぎて、まともな対応も・・・・言葉も、掛けてあげることが出来なかったのだ。 流石に、その場でのんびり会話している場合では無い、と判断しかけた時には―――――─もう、アルヴィスの主治医らしき男が彼をインガから引き離していた。 ―――――──アルヴィス君にみとれてる暇あったら、誰か呼んできて欲しかったよ。 やたらに整った顔立ちの若い医者に言われた言葉は、今もインガの胸に突き刺さっている。 そしてそれきり、アルヴィスの姿を見る事は出来なかった。 同級生の見舞いがてら、というよりむしろそっちがメインになりつつ・・・インガは毎日病院を訪れ、アルヴィスを探して彼と再会した階の各病室の扉横に貼られたプレートを見て歩いたが、アルヴィスの名前は見つけられなかった。 もちろん、看護師の詰め所でも問うたが身内でなければ教えられない、の一点張りで、諦めるしか無かったのだ。 それでも。 最後に逢った時のアルヴィスの憔悴振りが、どうしても気になって。 高校時代あんなに元気にバンバン弓を引いて矢を射ていた彼が、そんな状態になってしまったのか。 どうしてもどうしても、―――――─気になって。 彼を捜し当てて、もう一度逢わなければ気が済まなくなっていた。 だって、もしかしたら酷い病気なのかも知れない。 命さえ危ぶまれるような・・・不治の病なのかも知れない。 もしも、自分の知らない所で彼が、ひっそりと短い命を散らせてしまう運命だったとしたら。 彼にはいつだって幸せそうに笑っていて欲しいのに、そんな事になってしまったら。 自分の知らない所で、彼が今も苦しんでいるのかも知れない―――――そう思ったらもう、居ても立っても居られなかった。 もともと彼の姿を見た時から、二年間ずっと片思いをしていて。 それなのに想いを告げられないままに、卒業されてしまった。 言う機会を失い、こうなれば彼と同じ大学を目指して入る事が出来たらその時に告白を―――――などと考えていた矢先に、全く予想しなかった出逢い方ではあったがアルヴィスと再会出来たのである。 ・・・・・諦められる訳が無かった。 だから。 同級生が退院しても諦めきれずに、学校が終わってから毎日病院の周りをうろついて。 何処かの病室の窓からアルヴィスが顔を覗かせているのでは、などと極めて可能性の薄い幸運を願いながら―――――───病院の周囲を、歩いて・・・歩き回って。 もしかしたらもう、退院しているかも知れなかったけれど。 それならばそれで、彼が復調しているという事だろうし。 出逢える確率なんて、ゼロに近い程低いなんて事は分かっていた。 けれど、どうしても、ジッとしていられなくて。 このままでは、受験生だというのに勉強も手に付かず、部活だって気もそぞろになってしまう。 だから。だから・・・・・・・・もう少しだけ。 そう思いながら、病院の周囲をうろついていた。 そうして。 ―――――───病院傍の公園で、ベンチに座り静かに眠る彼を見つけたのだ。 想像もしていなかった場所に居る彼に、インガは最初、アルヴィスを想うあまりに幻覚でも見ているのかと疑ってしまった。 「アルヴィスさん・・・・!?」 つい、確認するように叫んでしまう。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 こんな所に居るはずが無いと思いつつ、けれどどう見ても探し求めていた筈の彼で。 信じがたい思いのまま、つい手を伸ばして触れてみれば―――――─やっぱり幻想でも白昼夢でも、人違いでも何でも無く。 最初にインガが思ったとおり、ベンチの上で背もたれに上体を預けるようにして眠っていたのはアルヴィスその人だった。 病院で寝ている筈の彼が、何故、こんな所に? 「・・・・・・・・・・・・・・」 もしかして退院したんですか・・・と聞きかけて。 目の前の彼が、この前逢った時よりも更に酷く具合が悪そうな事に気付く。 肩で息をしているし、何より表情が苦しそうだった。 それに顔色が尋常じゃないくらいに、青ざめている気がする。 とてもでは無いが、素人判断だけれど退院出来る状態では無いだろう。 「アルヴィスさん・・どうしてここに!? 病院はどうしたんですか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」 慌てて抱き起こし質問するが、もはやアルヴィスは答えるどころでは無さそうだった。 グッタリとして、苦しそうな呼吸を繰り返すのみである。 ――――──アルヴィス君にみとれてる暇あったら、誰か呼んできて欲しかったよ。 不意にまた、彼と再会した時、医者に言われた言葉がインガの胸を過ぎった。 そう・・・・驚いたり、アルヴィスに見入っている場合では無いのだ。・・・今度こそ。 「と、とりあえず病院戻りましょう・・!」 叫んで、肩を抱き―――――・・・一瞬躊躇してからアルヴィスを抱きかかえた。 憧れていたアルヴィスを、抱きかかえる。それは、インガにとっては一大事の出来事だ。 高校時代、どんなに憧れていても自分から彼に触れるなんて出来なかった。 部活で弓の指導の時に背後から抱き締められるようにして、構え方を教えて貰ったり。 駅まで送る時の自転車2人乗りで、やっぱり後ろからくっついて貰うくらいがアルヴィスに密着できる最大のチャンスだった。 それだけでも、かなり嬉しくて赤面してしまうのを止められなかったのだけれど。 だから、こんな状況とはいえ自分がアルヴィスを抱きかかえている―――――─その事実に、興奮してしまうのは抑えようが無かった。 「・・・・・・・・・・・・・・・・」 その身体が驚くほど軽くて。 インガは不謹慎だと思いつつも、内心でドキドキしてしまう。 高校時代、体格は僅かにインガの方が良かったが、身長はアルヴィスの方が高かった。 けれど彼が部を引退して今までの数ヶ月足らずの間に、インガは体格はもちろん身長でも、完全にアルヴィスを抜いたらしい。 こうして彼を抱きかかえるのに、何の不自由も感じなかった。・・・・・・元々華奢な体格だったアルヴィスが、ますます痩せてしまったせいもあるのだろうが。 アルヴィスはおとなしく、インガの腕に抱かれていた。 だが、歩き始めてすぐにアルヴィスの手が弱々しく、インガの顔の方に伸ばされてきた。 「・・・・・アルヴィス・・・さん?」 触れてきた手の指先がとても熱く感じて、インガは不安を覚える。 そういえば、抱いている身体も酷く熱い気がする―――――熱があるのでは無いだろうか。 「・・・・・っ、?」 心配になってアルヴィスの顔を覗き込んで、ハッとする。 苦しい息をしつつも、アルヴィスはインガが今まで見た事のないような嬉しそうな笑みを浮かべていたのだ。 「・・・・むかえにきて・・・くれたんだ・・・・」 そう言って、安心した様に笑う。 目を開いている事すらも億劫なのか、半ば伏せられた長い睫から覗くとろりとした色合いの瞳の青がキレイだった。 「・・・・アルヴィスさん・・?」 けれど、――――焦点が何処か合っていない。 言っている内容も、意味が掴めなかった。 だが、インガが面食らって立ち尽くしている間も、アルヴィスはふわふわとした様子で言い募ってくる。 「・・・よかった・・・・おれもう、もどりたくないんだ・・・びょういんも・・・いまのいえにも・・・もどりたく・・・ない」 まるで幼子みたいな表情で、嬉しそうに――――甘えるように、訴えてくる。 「びょういんは、・・・・いや。つれて・・いって」 「え・・・病院に戻りたく無いって、そんな、アルヴィスさん・・・!」 今のアルヴィスの状態は、明らかに普通では無い。 言っている内容もどこかおかしいし、身体だってこんなに熱い。 いくら本人が嫌がっても、その通りにするのは―――――間違った行為だ。 「駄目・・ですよ。そんな・・・病院、行かないと・・・・!」 だが、困惑するインガを余所に、アルヴィスは幼い子のように可愛らしく駄々をこねる。 「おねがい。このまま・・・つれていって。・・・びょういんは、・・・いや・・・」 震える指先でインガの頬を縋るように撫で、青く美しい瞳にいっぱいの涙を溜めてインガを見上げてくる。 「・・・・・アルヴィス・・・さん・・・・」 その顔に、インガは言葉を失ってしまった。 神経を鋭く研ぎ澄まし、凛とした横顔や少しだけムッとした顔。 照れくさそうに笑った顔や、部員を誉める時の嬉しそうな顔、注意する時の怒った顔・・・・・たまに見せてくれた、柔らかい微笑みを浮かべた顔―――――───アルヴィスの表情なら、沢山間近で見てきたと思う。 けれどこんな・・・・儚くて、触れたら消えてしまいそうな弱々しい、・・・・保護欲を酷く刺激するような泣き顔を見るのは初めてだった。 意外だったが、とてもとても・・・・アルヴィスの浮かべる表情に相応しい、キレイで可憐な泣き顔だと思う。 けれど、出来れば見たくない―――――悲しい顔だ。 「・・・・・・・・・・・・・・・」 アルヴィスの浮かべる表情に動揺し、インガはただ腕の中の彼を見つめる。 ―――――─早く、病院へ行かなくちゃ。 「駄目、・・・ですよアルヴィスさん・・・」 「・・・・おねがい。このままつれていって。・・・・かえりたくない」 「だけど、・・・」 ―――――─だってこんなに具合悪そうなんだから。 ・・・連れて行かなかったら、大変な事になるかも知れないんだから。 必死に、言うとおりにしてしまいそうになる自分を心の中で叱咤し、インガは苦しい言葉を返した。 「・・・駄目ですよアルヴィスさん・・・具合、悪いでしょう?・・・病院、戻らないと貴方が・・・辛くなっちゃいます・・・」 「――――もう、つらい。・・・いたくてくるしいのばかり。・・だからつれていって・・・?」 けれども、何処か虚ろな目でアルヴィスはサラリとそう言って。 また縋るようにインガを見上げる。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 絶対に、今のアルヴィスは普通の精神状態では無い。 目の前にいて、自分を抱き上げているのがインガだと認識しているかも危ういだろう。 だが、だからこそ―――――─言っている内容全てがただの譫言だとは限らないのでは無いだろうか。 アルヴィスは普段、何でも押し黙ってしまう性格だ。 特に辛いことや苦しいこと・・・傷付いた事などは心の奥底にしまい込み表には決して出さない性格だった。 こんな風に・・・・辛いとか苦しいだとか・・・嫌だなんて口にするアルヴィスをインガは知らない。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 本音・・・・なのかも。 いつもは言いたくても言えないアルヴィスさんの本心が、具合が悪くて精神のタガが外れて、出てきているのかも・・・・・・。 そう考えてしまえば、インガの中で更に葛藤が生まれてしまう。 インガだってそもそも、憧れのアルヴィスの願いを叶えてあげたくない訳では無いのだから。 「・・・おれを・・・あのばしょにもどさないで・・・」 「・・・アルヴィスさん・・・・」 戸惑い立ち尽くすインガの腕の中で、憧れだった彼が悲しそうにボロボロと涙を零した。 青く美しい瞳から、透明な雫が白い頬をスウッと伝っていく。 黒々とした長く濃い睫毛がゆっくり伏せられ、瞬きが繰り返されるたびに、その透明な雫は後からあとからアルヴィスの頬を濡らしていった。 「・・・・・・・・・・・・・・っ、」 その雫が、インガのせっかくの決意をますます揺るがしていく。 堪らず、インガは掻き抱くようにアルヴィスの頭を抱き寄せた。 そして彼の髪に顔を埋める。 「―――――─そんなに、・・・泣かないで下さい・・・・僕がアルヴィスさんの望むとおりに・・・してあげますから・・・・!」 もう駄目だ―――――と思った。 好きな人に、こんな顔でお願いされて。 それを振り切れる男が居たら・・・・・・・お目に掛かりたい。 「・・・ほんと? ずっといっしょに・・・いられる・・・?」 アルヴィスの口調は相変わらず幼いものだったが、少しだけまた嬉しそうな響きが戻った。 「はなれなくて、いいんだな・・・」 言いながら、インガの顔に触れていた手でシャツの襟元を縋るようにキュッと掴んでくる。 その仕草にまた堪らない愛しさを感じ、インガは肯定の意味も込めてアルヴィスを強く抱き締めた。 こんなに、・・・・帰るのを嫌がっているのだから。 こんなに、・・・・僕に縋ってきてくれているのだから。 せめて1日くらいは、彼の望むままにしてあげたい。 1日くらいなら、きっと大丈夫だろう―――――───そう、思いながら。 さて、どうしよう・・・? アルヴィスを抱えたまま、インガは思案を巡らせた。 このまま、外に居る訳にはいかないし。 ぼやぼやしていたら、病院関係者が探しに来てしまうかも知れないし。 かといって、―――――自宅には姉が居るのでアルヴィスを連れて行けばまた、一から説明せねばならず、ややこしい事になってしまいそうだ。 こんな状態のアルヴィスを連れて友達の家なんて、問題外だし。 未成年だからホテルなどは泊めて貰えなさそうだし、第一資金が・・・・・。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・」 そうつらつらと考えあぐねていたインガの目に、ふと公園の先にある建物が飛び込んできた。 遊園地にあるお城みたいな、やたらに可愛い造りで他の建物と一線を画しているかのようなそのフォルムの建築物は―――――アレだ。 ホテルという名を冠しているのに、何故か数時間の休憩サービスなんかも提供している、アレ。 恋人達専用の、普通のホテルよりは遙かに宿泊料金が安上がりだという噂の、・・・・アレ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 幸い、今日は弓道で使う『カケ』――――矢をつがえる時に使用する右手に填める革手袋の事だが―――――を購入するためにと姉から持たされた資金があるから、アレにだったら宿泊も可能である。 場所が場所だけに、そんな所にアルヴィスを連れて行くことにかなりの罪悪感と・・・少しの高揚感を味わいながら、インガは心を決めた―――――─。 Next 18 ++++++++++++++++++++ 言い訳。 1話まるまる、インガ君主観でした(笑) 話は8-7の続きって感じです。 次回も多分、彼がメインかもしれません。 ていうかようやく、ホントにインアルっぽくなるかもですn(殴) 暴れるトム様が書けるか書けないか・・・微妙なところです(笑) |