『Anything is done for you』
初えっち編 ACT11
熱くて滑らかな、柔らかい粘膜にくるまれる――――・・・それは、想像以上の快感をインガに与えた。
自分の中で最も敏感だろう箇所が、そうして柔らかく濡れた口内へと誘(いざな)われ、包み込まれる感触は・・・・身体の芯が、蕩(とろ)けそうになってしまうほど心地よい。
まして。それを為してくれているのは、他ならぬアルヴィスで。
不可侵の聖域とも見なしていた、彼の唇によって施されており――――――・・・その事実だけで、インガは自分の脳が白く灼き切れていくような感覚を覚えた。
例え、その『奉仕』が酷く拙い・・・歯の生えそろわない子猫が、固形のモノを無理に食べようとして一心不乱にペロペロ舐めているような。
快楽を引き出すには少々、物足りないものだとしても。
小さめの口内へ、何とかしてインガ自身を収めきろうとすることに意識が集中してしまうのか、頬張ろうとするだけで。
舌を使うとか吸い上げるとか、その他一切の行為を忘れてしまっているらしい余裕の無さも。
インガには、その全てが愛しくて・・・刺激的で、とても高揚感を覚える行為に思えた。
アルヴィスの口を犯すなんて、想像の中でも禁忌だと思っていたインガである。
その『事実』だけで、何度でも達してしまえそうだった。
――――――インガの、・・・出して・・・・?
それなのに、こんな。
男の夢を都合良く具現化した、ビデオやら本なんかに登場するヒロインが口にしそうなセリフまでを言われてしまったら。
インガだって他愛もなくアッサリと、のぼり詰めてしまうというものだ。
卑猥(ひわい)な言葉は、言われる相手によっては酷く興ざめしてしまう原因ともなるモノだが、本命相手に言われると、その破壊力はとてつもない。
しかも普段、絶対にその手の言葉は言うどころか、考えることもしないだろうアルヴィスが言う辺りで破壊力はいや増すというものだ。
――――――まずい・・イク・・・!
このままでは、アルヴィスの口内へ放ってしまう――――――そう思った瞬間、インガの身体は勝手に動いた。
アルヴィスの唇に、自分のが触れただけでも恐れ多い気がするのに、彼の口の中へ吐き出してしまうなど許されることではない。
アルヴィスが穢れてしまう。
それはインガにとって、最大の禁忌だった。
「―――――・・・う・・・くっ、・・!!」
インガは余裕無くアルヴィスの口内から自身を引き抜き、そのまま彼の両肩を掴んで押し倒し組み敷いて。
アルヴィスの腹部へと、爆発寸前だった欲望をぶちまける。
本当であれば自分のなんて、口の内外問わずどこにだって触れさせたくなかったインガだが、流石にそこまでの猶予は持てなかった。
「・・・・インガ・・・・?」
突然の行動に、アルヴィスが戸惑った様子でインガを見上げてくる。
その表情から、彼がまだ状況を理解していないことが伺えた。
「・・・・・・・、・・」
何か言わないと、と思うが荒い呼吸にはばまれて、何も喋れない。
堪(こら)えに堪えた―――――・・・アルヴィスに奉仕されるというのが余りに刺激的で、された瞬間に達してしまいそうだったのだが、その一方でもっと続けて欲しいという欲望が頭をもたげて来て、ついつい限界以上まで我慢してしまった・・・―――――のは、予想以上にハードだったようである。
「・・・・・・・・インガ、・・?」
不安そうな顔で、アルヴィスがインガの額に手を伸ばしてきた。
そして、汗に張り付いていたらしい髪をそっと払ってくれる。
インガの態度に、自分の行為を否定されたとでも思ったのだろうか。
アルヴィスがインガの為にすることで、インガが嬉しく思わないことなど有りはしないのに。
「はぁ・・・はぁ・・・アルヴィスさん、・・すみません・・・・・・」
お腹に出しちゃいました―――――そう、小声で付け加え。
「すみません・・・」
アルヴィスの両肩に手を掛け押し倒した体勢のまま、顔を俯け小声で謝る。
口内へ放たず済んだのは良かったが、アルヴィスの腹の上に出してしまったのが戸惑われるところだ。
インガには、唇だけでなくアルヴィスの身体はどこもかしこも、髪の毛1本に至るまで聖域なのである。
「・・・・・・・、」
インガの言葉に、アルヴィスが一瞬押し黙った。
ようやく、今の状況を理解したのだろう。
身体の下で、アルヴィスがふっと軽く笑ったのを感じた。
なんとなく嬉しそう――――な、印象を受ける仕草だ。
「・・・いや・・・、俺だけじゃ、嫌だったし・・・・」
口調も穏やかで、声にも安堵感が漂っている。
アルヴィスにしてみれば、自分だけがイかされたことに抵抗を感じていたのかも知れないと思い当たり―――――・・・ようやくインガは、許された心地になった。
「も・・・、危なく・・アルヴィスさんの口に・・出しちゃうところだったじゃないですか・・・!」
ホッとして。
インガは思わず、ぎゅーっとアルヴィスの肩口に顔を埋めるようにして、その細い身体を抱き締める。
・・・本当に危なかった。
もう少しで、アルヴィスの口に放つところだった。
咥えられた時点で、もう一息に限界点まで到達してしまっていたから――――――いつ、暴発してしまってもおかしくなかったのだ。
それなのに、(技巧はともかく)アルヴィスが余りにも姿態(したい)で煽ってくれるから・・・・抗えなかった。
間一髪(かんいっぱつ)だったのである。
「・・・・それでも・・・・良かったのに」
うっとりと、そう言ってくれるアルヴィスが愛しい。
こんな行為をするのは初めてだっただろうに、・・・口淫(こういん)で相手の精液を口にするという内容は恐らく、具体的にわかっていないのだろうに、受け入れようとしてくれているアルヴィスが堪らなく可愛かった。
1歳年上の彼にそう思うのは、僭越(せんえつ)なことなのだろうが・・・・かわいい。
ひたすら、――――・・・かわいい。
腕の中に閉じ込めて、守ってあげたくなる可愛さだ。
普段アルヴィスに感じている憧憬(しょうけい)の念は、決して失われたワケではないのだけれど。
今の彼がインガの眼には、ただひたすら可愛くて愛おしい存在に映るのだ。
「そんなの・・ダメです・・・」
軽く首を、横に振って。
「・・・ここも、こんなに濡れて・・・」
インガは顔を上げ、アルヴィスの顎を伝う唾液と先走りが入り交じった雫を舌先で舐め取った。
少しだけ苦みが混じるその味に、これをアルヴィスも味わったのだと思うと余計にいじらしさが増してきて―――――そのまま、深く口づける。
「・・・んっ、・・・・ふ・・・・!」
濃厚な口付けに、アルヴィスがくぐもった声を上げるが構わずにキスを続けた。
熱く滑らかな粘膜と舌の感触に、また身体が熱くなってくるのを感じる。
この口内で、この舌で―――――アルヴィスがインガ自身を愛してくれた。
彼の口内を味わえただけでも、嬉しくて堪らなかったのに・・・・この唇が、自分に触れてくれたのだ。
そう思ったら、更に愛しさが増してきて。
インガは執拗に、アルヴィスの口内を舌先で隈無く探り、キスを深める。
歯列をなぞり、口蓋を舌舐めあげ、舌と舌を絡め合い。
彼の口内を丹念に舐め、アルヴィスの味を堪能し・・・・そこに、自分の味がしないことを確かめて安堵した。
本当に、彼の口内に放ちアルヴィスを穢すことにならなくて良かったと思う。
このキレイで可憐な存在を、汚すなんて有り得ない。
「・・・・んんっ、・・・・・っ・・・・」
深い口付けを繰り返し、時折、重ねられた互いの唇がわずかに外れる合間に、アルヴィスから甘い声が漏れ出る。
抱き寄せている肩からも力が抜けていて、アルヴィスの身体がインガを完全に受け入れているのだと察せられた。
これまでのアルヴィスの身構えようから比べたら、歴然だ。
「アルヴィスさん・・呼吸、お上手になりましたよね・・・」
さっきまでキスの時の呼吸の仕方が分からず息を止めていた彼が、リラックスしてキスを受け入れているのが嬉しい。
いつもの、緊張してガチガチになりながら恥ずかしそうにキスを受け入れてくれている姿も可愛らしくて、インガの胸を高鳴らせていたけれど。
こうして自然な様子で受け止めてくれる嬉しさは、また格別である。
唇と唇のキスは、特別だから。
出来れば、互いに溶け合うような。
ひたすら甘い、2人が一緒に幸せを感じるモノであって欲しい。
おずおずとインガの要求を受け入れて、真っ赤になって緊張しながらキスをするアルヴィスを申し訳無く思いつつ―――――それでも、どうしても彼と繋がりが持ちたくて、彼と触れ合いたくて迫っていたキスを、今日初めて、アルヴィスが受け入れてくれた。
そのことが、何より嬉しい。
「今日が初めてなのに・・すごいです・・・」
うっとりと言いつつ、高まる気持ちそのままにインガはアルヴィスの唇を貪った。
「んっ、ん・・・・ん・・・・・・・ふぁ・・・あっ、」
途端にアルヴィスから漏れる声も甘さが増し、自然とインガに回されていた手にも力が籠もる。
感じてくれているのだと思って、インガは嬉しくなった。
それどころか、自分の下腹を生暖かく濡れたモノが時折軽くつつくように触れてくるのに気づき、インガはまた自身が張り詰めてきたのを感じる。
「んううっ、・・・あ・・・ふ、・・・!」
思わずキスが性急なモノとなってしまい、アルヴィスが少し苦しそうな声を上げ、喉奥で軽く咳き込んだ。
呼吸の仕方は分かったものの、キスの時の混ざり合った唾液のことまでは、まだ分かっていないのだろう。
「・・っ苦しく・・ないです・・・?
苦しいときは・・・・・飲み込め・・ますか・・・?」
通常は飲み下すことになるのだが、果たしてアルヴィスは拒絶反応は起こさないだろうか。
嫌がられたらどうしよう――――――内心、そう考えドキドキしながら言ったインガだが、アルヴィスは素直に頷いた。
「・・・・んっ、・・・へい・・き、・・・」
キスですっかり潤んだ目で頷いて、コクンと小さく喉を鳴らして呑み込む。
その様子には一切、拒絶の態度は見受けられなかった。
嫌がる様子は、少しもない。
本当に受け入れてくれている――――――そう実感出来た、アルヴィスの態度だった。
「アルヴィス・・さん・・・っ!!」
感激の余り強く抱き締めれば、下腹に押し付けられたアルヴィス自身から熱い蜜が溢れるのを感じる。
今の状況に、彼も興奮してしまっているのだろう。
無意識に快感を得ようと、腰も僅かに揺れているのが可愛い。
「気持ち・・よかったですか・・・?」
嬉しさに自然と頬を弛ませながら、インガは腹部を掠めているアルヴィスを、その輪郭をなぞるようにそっと指で撫であげた。
「・・・んぁ・・・っ、・・・・・は、・・・あ・・・・・あっ、・・・!」
その途端、唇を離しアルヴィスが抑えきれない様子で声をあげる。
ハッキリと、悦楽が滲む声だ。
羞恥に頬を染めつつも、感じ入っているのがモロバレな蕩けそうな表情を浮かべ。
インガが触れているアルヴィス自身は、ますます熱い蜜で濡れそぼり・・・腰は、少しでも快感を得ようと小さく揺れ続けている。
その様子では、敢えて確認せずとも彼が感じ入っているのは明白だ。
「ボク、・・・キスしかしてませんのに・・・」
キスだけで感じてくれる、素直な身体が愛おしい。
インガによって、インガだけに・・・・感じてくれているアルヴィスが可愛くて堪らない。
「―――――アルヴィスさんに・・こんなこと言うのは・・失礼かもですけど・・・」
そう思っていたら、言葉は勝手にインガの口から零れ出た。
「アルヴィスさん、とっても可愛らしいです・・・。
ボクに、こんなに感じてくれて。・・すごく嬉しいです・・・・・・」
恋人とはいえ、曲がりなりにも先輩なのだから、こんなことを伝えれば機嫌を損ねてしまうかも知れない――――――そんな思いも僅かに頭の片隅にもたげたが、口の動きは止まらなかった。
「・・・・可愛い・・・大好き、です・・・」
溢れんばかりのアルヴィスへの想いが、愛しさが募りすぎて止められない。
うっとり、アルヴィスの耳元へ囁きながら。
インガはそっと、悦楽の涙を流し続けるアルヴィス自身を撫であげた。
「・・・・・・・っ、う、・・・あっ、あっ、・・・・・・・!!」
びくびくと身体を跳ねさせて、アルヴィスが泣きそうに顔を歪めて喘ぐ。
必死に唇を噛みしめようとしている様子を見るに、何とかして声を抑えようと頑張っているようだった。
全てが初めて尽くしだろうアルヴィスには、自分の感じる姿を晒している今の状況が、とても恥ずかしいようである。
「・・・アルヴィスさん・・だけじゃないですよ・・・?」
恥じらっている、そんな姿もまた可愛くて。
インガは、宥めるように優しく声を掛ける。
「アルヴィスさんが、そんな風になってくれるから・・・ボクも・・・・・・」
そして、言いながらアルヴィスの裏を辿るように、自分の屹立の先端を押し付けた。
「うあ、・・・・ア、アァ・・・・・!!」
アルヴィスの身体が一瞬強張って、唇から一際(ひときわ)高い声が迸る。
切ない・・・端で聞いている者の方が、思い切り劣情を煽られてしまいそうな、酷く官能的な声だった。
普段の、凛と冴え渡るような美しさに包まれた彼が発するなんて、想像も出来ないような淫らな声。
それを引き出しているのが、自分であるということにインガは幸福を感じた。
――――――もっと、引き出したい。
もっともっと、乱れるアルヴィスが見たい。
自分に縋り付き、身も世もなく淫らに啼く彼が見たい。
アルヴィスの中に、自分という存在を打ち込みたい。
「だから・・・ねぇ、アルヴィスさん。・・・続けて・・いいですか・・・?」
耳元に口付けながら、インガは強請るように言葉を切り出した。
「・・・アルヴィスさんと・・繋がっても・・・・?」
身体の最も弱いだろう箇所をなぞりながら言うのでは、アルヴィスは官能に翻弄されて殆ど意味が理解出来ていないに違いない。
それを分かっていながら、インガは更にアルヴィス自身を扱くようにしつつ言葉を重ねる。
「アルヴィスさんの全部、・・・ボクが貰ってもいいですよね・・・?」
「・・・・っ、は・・・あっ・・・・・・んんっ、・・・・」
アルヴィスの唇からは、甘い喘ぎしか漏れてこなかった。
インガの手で快楽を育てられ、切なそうに腰を揺らしている彼の頭の中は達することで一杯いっぱいになっているのだろう。
アルヴィスを可愛がっているインガの指は、彼が流す悦楽の徴(しるし)でしとどに濡れそぼり、ヌチュヌチュと淫らな水音を立てており。
インガの手の中で硬く張り詰め、その身をピクピク震わせている彼自身はそろそろ限界の様子だ。
こうして指先で敏感な先端を刺激し続ければ、程なく弾けてしまうだろう。
「・・ん・・・っ、・・ああぁ・・・・」
敏感な器官を責められスッカリ翻弄されきったアルヴィスは、潤んだ瞳でインガを見つめ切なく唇を震わせるのみだった。
「・・・アルヴィスさん・・・・」
「・・・あ・・っ、・・あァ・・ア、・・・アァ・・・!!」
濡れた青い瞳で、必死にインガを見つめてくるのが可愛い。
その瞳の中に、縋り付くような甘えるような色が混じっているのが愛しくて。
インガは思わずこのまま、アルヴィスが望む通り上り詰めさせてあげたくなる。
羞恥しつつ、よがりながら果てるアルヴィスの美しい姿を見届けたくなる。
けれど出来れば、――――・・・共に高みを極めたい。
彼とひとつに溶け合って、アルヴィスの内側も外側も・・・同時に責めて愛したい。
「ねえ、アルヴィスさん・・・・いいですか・・・?」
再び強請るように、名を呼んで。
インガは込み上げてくる激情のままに、アルヴィス自身を撫であげる指の力を強めた。
「・・・は、あ・・・っ、インガ・・・っ、インガ・・・・・あ・・っ、あァ・・・・!!」
その途端、切羽詰まったような声が上がり、必死な様子でアルヴィスがインガにしがみついて来る。
その身体は小刻みに震え、吐息は火のように熱い。
ハッとして、――――――思わず手を止めてしまう。
何もかも初めて尽くしだろうアルヴィスの身体を、少々焦らしすぎてしまったらしかった。
ギュッと寄せられた眉や硬く閉じられた目が、アルヴィスの辛さを物語っている。
「・・・・・・・・・」
インガは、アルヴィスの乱れように脳を侵されつつ、けれど可哀想にもなってきて。
急速に、高まっていた気持ちが静まっていくのを感じた。
―――――・・・今日は、・・・やっぱり無理かな・・・。
そんな思いが胸を過ぎり・・・アルヴィスだけを解放させようと、手を動かす。
初めてなのだし、やっぱり性急に最後までというのはアルヴィスには無理かも知れないと考え直したのだ。
ディープキスが出来るようになっただけでも、今日は良しと思うべきだろう。
酷く敏感で感じやすい身体のようだから、・・・これ以上焦らすのは可哀想だと判断する。
「・・・・大丈夫ですよ、今、・・・ちゃんと気持ちよくしてあげますからね・・・」
腕の中のアルヴィスが、今にも泣きじゃくってしまいそうな程テンパっているのは明白だ。
今まで経験したことのない強い快楽に、すっかり混乱して怖がっているようだし。
こうして強引にのぼり詰めさせられるということ自体が、アルヴィスにしてみれば許容範囲を超えているのかも知れない。
エッチで気持ちよくなって啼いてくれるというのなら大歓迎だが、・・・怯えてシクシク泣かれるのは耐えられない。
インガには、アルヴィスの気持ちが1番大切なのだから・・・自分のせいでアルヴィスが泣くなんていうのは、絶対に許されないことなのである。
アルヴィスの為なら、インガはどんなことだって我慢出来るのだ。
アルヴィスが悲しむくらいなら、・・・・・・・・・・辛いけれど一生抱けないとしても・・・耐えられる、気持ちだけはある。・・・筈だ。きっと。
――――――とりあえず、今は我慢する。
というか、・・・・しなければならない。
アルヴィスが嫌がることなど、インガは1ミクロンだってしたくないのだ。
ところが。
「――――・・・・して・・・・っ、・・・!!」
インガが、身体の位置を変え。
アルヴィスのみをイかせてしまおうと愛撫を再開しようとした、その時。
アルヴィスの唇から、予想外の言葉が飛び出た。
「・・・・え、?」
一瞬、耳を疑う。
てっきり、空耳だと思った。
でなければ、こんな状態のアルヴィスから、そんなインガにとって都合の良い言葉が聞こえる筈は無い。
「・・・あっ、もう・・・お願、っ! ・・・・して・・くれ・・・っ、!!」
しかし、アルヴィスはインガにしっかり腕を巻き付けて抱き付きながら・・・・再度言葉を辛そうに口走ってきたのである。
「・・・いいん・・ですか・・・?」
懇願するように自分を見つめてくる、アルヴィスの切なそうな顔を見つめ返して。
インガは恐る恐る、確認をした。
「・・・・・・・・・、」
確認しながら表情で、やはりアルヴィスがもう殆ど理性を失った状態らしいことを確かめる。
身体を艶めかしくクネらせ、潤んだ瞳でインガを見上げるアルヴィスは・・・・想像以上に淫らで、蕩けるような色香を放っていた。
それでいて時折、辛そうな表情を浮かべるのは、彼がもう限界に達していることの証拠だろう。
「も・・・う、つら・・・い・・・っ! んっ、・・だから、はやく、・・・ああァ・・・!!」
俺にして―――――・・・・掠れた声でそう強請られ。
その声の、あまりの艶っぽさにインガの喉が鳴った。
「・・・・・・・・・・」
うっかり欲望に負け。
敢えて言葉の真意を測らないまま、そうっとアルヴィスに触れていた指を、後ろの方へと滑らせてみる。
ここで拒絶されたら、やはり今日は諦めよう――――――そう思いながらの行動である。
「・・・あ・・・・っ、・・・」
しかし、アルヴィスは小さく声を上げただけで、抵抗と覚しき態度は一切見せなかった。
―――――――抵抗・・しない・・・?
ホントに・・いいってことなんですか・・・?
信じられないような心地で、インガは更に濡れた指先をアルヴィスの奥まった箇所へと潜らせてみる。
先程アルヴィスが放ったものと彼の先走りの蜜のせいか、辛うじて中指1本ならば第一関節くらいまでは埋め込めそうだ。
けれどやはり、酷く狭い。
元々挿入される為の機能を持っていない箇所なのだから当然だが、少し指を潜り込ませただけでも入り口付近がさせまいとして、締め付けてくる。
インガはアルヴィスを傷つけないよう、細心の注意を払いながら、入り口付近の粘膜を優しくなぞり―――――・・・ゆっくりと指を差し入れていった。
「・・・・・んっ、・・・・・は、・・っ、・・・?」
すると、少しだけアルヴィスが戸惑うような声を発し。
インガは、慌てて指を引き抜こうとした。
その時、僅かに入っていた指先が入り口の内側あたりを軽く引っ掻いてしまう。
「ひっ!? やあっ、・・ああァ・・・ッ・・・!!」
途端、びくんっ、と華奢な身体が大きく震えて。
白い喉元を晒して仰け反り――――・・・アルヴィスが切なげな声を上げて自らの腹に、白濁した悦楽の証を放った。
「・・・ッ、・・・あ・・アァ、・・あ、・・・あ・・・」
荒く息を吐き、アルヴィスの薄い胸と腹が激しく波打つように上下する。
それに連動して腹から脇へ、その細いウエストラインをなぞるように、つうーっと伝っていく白い液体がたまらなく淫らだった。
「・・・・アルヴィス・・さん、・・・」
その、あまりに卑猥(ひわい)で扇情的な光景に。
インガは、1度は鎮めようと決心した筈の自分の欲望が、再び頭をもたげ今度は抑えきれない程の烈しさでアルヴィスを求めるのを感じていた―――――――。
NEXT ACT12
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言い訳。
あーあーあー・・・大したことは書いてないんです!(力説)
そんなにエロ度は高くないと思うんです!!(笑)
初々しい2人の、初々しいお初エッチなんですから(主張)
でも妙に濃いっていうか、なんかやらしげに感じてしまうのは・・・・何故なんでしょうn?(爆)
ファンアルだと、もすこしサラッとしてる気がするんですけど(笑)
インガの微妙な優しさだとか気の使い方が、変なやらしさを運んで来てるのでしょうか(爆笑)
ともあれ、次回はようやく本番行けそうです・・・☆
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