sanctuary 1話のおまけ

−小鷹と鷺の会話−



「おわっ!!おおおお王子っ、どうしまし……た、か?」

「ヤナフ、お願いある。私約束した、ティバーンと」

「はっ?お願い?王と約束?……あーのー、どんな約束か知りませんが、その約束とリュシオン様がおれに抱きつくのとはどういった関係が?」

「今言う。ヤナフ、短気」

「はぁ、すいません」

「私困るとき助けるしたお礼、ティバーン困るしたら私助ける必ずする、強くなる約束した。そしたらティバーン、ヤナフ助けるして欲しい言った」

「……あー、ええと、つまりこうですか。リュシオン様は、自分が困っているときに助けてくれたお礼に、ティバーン様が困っているときには必ず助ける、そのために強くなると言った。そうしたらティバーン様はそのときはおれを助けてくれと言った」

「そう、それ!」

「ああ……そうなんですか。王は有事の際にはリュシオン様のご助力をおれにと言って下さったんですか……王…。あ、リュシオン様も承諾してくださったんですか?」

「しょ、しょうだく?」

「ああ、すいません。王のお願いに分ったと言ってくれたんですか?」

「もちろん言った。ヤナフ、ティバーンがたくさん大事する臣下。大事するの人、助けるを頼むされて嬉しい。し、しんりょう?される、したしるし」

「王がおれを大事にしているから、その大事な臣下を助けるよう頼まれたのは嬉しい、信用された証しだ、ってことでいいですか?」

「そう、ヤナフ、私言うことわかるがとても短い」

「嬉しいことを言ってくれるからですよ。でも王子、短いじゃなく早い、です」

「短いなくて、早い……。うん、学んだ。ヤナフわかるが早い」

「そうそう。……ん?ところでおれを助けるって約束したことと、この抱きつきの理由は繋がらないですよ?」

「……ヤナフ、言うことわかるが早いでも、中身分らないか。助けるするは、抱き上げるできるじゃないといけないでしょう?」

「―――――――はっ?」

「私まだ強いではない。ヤナフ抱き上げる練習したい。お願いは練習するさせて欲しい」

「……王子。助けると言うのはもしや、呪歌とか回復じゃなく、腕力の方?で、おれを抱き上げる練習をさせてくれ……と?」

「そう。私強いなる、言った。歌う強いに関係ないでしょう?」

「……………………………………」





―――――――インターバル―――――――






「……王子。物事には順序があります」

「ヤナフ疲れているか?歌うか?」

「そんなんいいから聞け……っ、いやいやそうじゃなくて、いいですか王子、いきなりおれを抱き上げようとしたって無理に決まってますから、まずこれを」

「……ジャムがどうしたか?」

「この壜のふた、開けられますか」

「……?……っ!……っっ!?」

「できませんよね。出来るようになってからもう一度来てください」

「……っ、ヤナフ、つめが割れるした…」

「――――――――――――――(怒)」






その日「おれが軽いからってだけで人身御供に差し出したんですか、信じて喜んだおれはただの間抜けですか」というような内容を叫びながら、王の元に怒り狂って怒鳴り込むヤナフの姿を目撃するものが何人もいたとかなんとか。


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