『01キスとキスの合間に』




「・・・・・・・・・・んっ、」

 柔らかな感触に、唇を塞がれて。
 暖かくて滑らかなモノが、口内に入り込んできて。
 舌に舌が絡め取られ、敏感な口の中を余すところ無く触れてきて。
 軽く吸われたり噛まれたり。
 唾液と唾液が混ざり合い、どちらのモノか分からなくなって。
 口付けの合間にする呼吸すら、混じり合って溶け合って、分からなくなる。
 唇を通じて、境界線が曖昧になっていく。
 どちらが自分で、どちらが彼なのか、・・・・分からなくなる。
 そのまま二人で溶け合って。
 絡み合うまま、解けなくなってしまえばいい。

「・・・・・・・・・・・」

 一瞬も離れたくない。
 唇が離れる瞬間、強くそう思う。

 離れないで。
 触れていて。

 唇が離れる瞬間、絶望を味わう。



 だから。



 キスを強請ってしまう。
 際限なく、ずうっと。
 離れるたびに、キスを強請る。

 キスは喜び。キスは・・・悲しみ。

 触れるたびに幸福が溢れ―――――離れる都度に、絶望を味わう。




「アルヴィス君って、キス好きだよね」

「・・・嫌い」

「でもすぐ、して欲しそうにするでしょ?」

「好き、・・・だけど嫌いだ」

 そう言ったら、彼は少しだけ不思議そうな顔をして。
 すぐにふっと笑みを浮かべた。

「ふうん? ・・・じゃあ僕と一緒だね」

「・・・・・・・・・・・」

「だって僕も、アルヴィス君とは一瞬たりとも離れたくないから」

 そんな事を言って、彼は抱きしめてくる。

「アルヴィス君とのキスは大好きだけど・・・離れる時に悲しくなる。だから、出来る事ならキスしたままで・・・ひとつになったままで、永遠になりたいと僕は思うよ」

「・・・・・・・・・・・俺も」


 そしてまた、キスをする。
 キスをして幸せになって、唇が離れる合間に絶望を味わう。

 離れたくないから。大好きだから。

 失ったら生きていけないくらい、必要だから。

 キスとキスの合間に絶望を味わいながら、自分たちは幸せを再確認する。



 一時も離れたくないくらいに好きなのだと―――――─思い知らされる。







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言い訳。
キスしながら、いちゃつくバカップル(笑)
トム様って何でも器用にこなすタイプに見えるので、絶対にキスも上手いと思うんですよね・・・!!
だからアルヴィスったらいつもメロメロ(笑)
なので、離れたくないな、もっとして?ってお願いするの可愛いなと思って書きました。
微妙に詩的(?)な感じにしたのは、余りにもバカップルなノリになってしまったので・・・ちょっと引き締め感を持たせようかなと思っただけです。内容は単にラブラブでs(爆)