『03 明日も会えるかな?』




「明日も会えるかな?」

 ニッコリ笑ってそう問えば、目の前の子供はとても険しい表情で首を大きく横に振った。
 まだあどけなく、人形みたいに可愛らしい顔をギュッとしかめて、猫を思わせる大きな紺青の瞳で睨み付けてくる。
 それはまるで、出逢った時と同じ様子で。
 会った時から少しも変わらない、その警戒した姿が毛を逆立てた子猫そっくりで笑みがこぼれる。




 本当に、この穢れた世界に置いておくのは勿体ない。




「明日も会えるかな?」

「・・・・・・・・」

 子供は、答えない。
 けれど、間違いなく明日も同じ場所・・・・ココに来るだろう。
 永遠を約束した贈り物―――――─彼は何故かそれを突き返したいらしくて、それを解除できる唯一の方法・・・・つまりは自分を殺すこと・・・・・を望んで毎日、ナイフなどを手にしてはファントムに飛びかかってくる。
 ファントムにとっては、可愛い子猫がじゃれついてくるような、他愛のない行動だ。
 じゃれついてくるのが面白くて可愛くて――――ついつい、毎日、一応敵の本拠地であるクロスガードの陣営まで出向いていたのだけれど。
 明日は、ウォーゲームの最終戦。
 それが終わったら―――――─彼を迎えに来ようと思っていた。
 本当はいつだって連れ去って行けたけれど、それで敵側の精神状態がぐらついて影響が出てしまったら面白くない。
 あくまでフェアに、思う存分、戦いを楽しみたいのだから。
 だから・・・・明日、戦いが終わったら、必ず。


「アルヴィス君。また明日、ね」







 明日も君に会いに行くよ。明日からは、ずっと一緒だからね・・・・。



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言い訳。きっとトム様は、6年前のウォーゲームが終わったらアルを連れ去る気満々だったのだろうと思ってます。だけど、予想外にダンナと相打ちになっちゃったからそれが出来なくて。トム様的には、それだけは心残りだったんだろうなー・・・・なんて思います。ダンナと相打ちとか、それ自体は面白かったからいいとか、思ってそうですがね。どうせ、死なないから(笑)