『背徳のajmbrosiva(アムブロシア)』


※今回も、結構激しく露骨な性描写&残酷グロテスク描写ありです!
苦手な方はご注意ください。
のっけからもう、真っ最中でs!!(殴)















ACT4















「・・・・う、・・うっ、・・・あ・・・・あぁ・・・・・、」


 天蓋付きの豪奢な寝台で、仰向けになった男の上に跨りながら。
 アルヴィスは勝手に喉から漏れ出る喘ぎを必死に噛み殺し、歯を食い縛った。


「・・・く、・・・・うぅ・・・・」


 それでも体内から内臓を圧迫し押し上げるような、苦痛とも悦楽ともつかない強烈な感覚に声が漏れ出てしまう。


「・・は・・・・ぁっ、・・・あ・・・・・」


 身体の中心を犯すファントム自身がもたらす圧迫感に、アルヴィスは息を詰まらせながら苦しげに息を吐いた。


「―――――・・・苦しいの? アルヴィス君・・・」


 そんなアルヴィスを、下から見上げる体勢で。
 銀髪の悪魔が横たわったまま、上に乗るアルヴィスの頬へと手を伸ばしてくる。


「また、・・・泣いちゃったね。苦しいんでしょう・・・?」


 言いながら、アルヴィスの頬に伝う涙を拭ってきた。


「っ、・・・う・・・・あぁ・・・・、」


 だが、媚薬によって極度に敏感にされてしまった内側の粘膜を一杯に押し広げられ、尚かつピンポイントで最も感じる前立腺の裏側を刺激されてしまっていては、まともな声も出せない。


「んぅ・・・っ、・・あっ、・・・あ・・・・・ああぁ・・・・!!!」


 快感とも苦痛とも判断の出来ない、鋭い感覚にアルヴィスはただ身悶え、小刻みに身体を震わせるのみだった。
 この激しい愉悦をもたらす刺激に全てを委ね・・・・・体内で荒れ狂う熱の塊(かたまり)を全部、思い切り吐き出してしまいたい―――――――脳裏で繰り返される思考は、それ一色に染まっている。


「・・あ・・・・うっ、・・・もう、・・・・も・・・・駄目、・・・だっ・・・」


 やっとの想いで、アルヴィスは嗚咽混じりに根を上げた。
 身体を自力で支えている事も難しくなり、寝そべっているファントムの上に頽(くずお)れそうになりながら、切れ切れに訴える。


「・・・・・・もう、む・・り、・・・・」


 頭の中が真っ白になるような激しい快感を与え続けられ、アルヴィスの身体はとっくにもう限界を超えていた。

 それなのに、もはや限界まで張り詰め勃ち震えているアルヴィス自身は、根元を括(くび)れが出来そうな程きつく銀製の輪で縛(いまし)められていて、解放することは叶わないのだ。


「・・・たのむ、から、・・・・もう、・・・・あ・・・あ、・・・・!!」


 生理的な涙が、目から勝手に溢れてきて。
 唇が勝手に、意地も矜持(きょうじ)もかなぐり捨てた泣き言を口走った。


「・・・っ、・・・許し、・・・て・・・・・、・・・」


 この世でもっとも嫌悪し憎まなければならない男に抱かれているという、屈辱的な状況を充分理解していながら――――――・・・快楽に籠絡されてしまった身体が、アルヴィスの理性を裏切る。

 繋がった体勢でアルヴィスは辛そうに背を丸め、がくりと項垂れた。
 汗で湿ったアルヴィスの髪の毛先が、ファントムの胸板を擽る。

 その髪の一筋に、弄(もてあそ)ぶかのように指先を絡め。
 ファントムは底知れない深さを感じさせる紫色の瞳で、じっとそんなアルヴィスの様子を眺めた。

 そして、楽しそうに口を開く。


「苦しいよね。・・・こんなに、張り詰めているんだものね・・・・・出したくて出したくて、堪らないでしょう・・・?」


 言いながら、トロトロと半透明な液体を伝わせて、ピクピク先端を震わせているアルヴィス自身に手を伸ばし、軽く形をなぞってきた。


「っ、・あ・・あああっ、・・・・あ、!!」


 たったそれだけで、アルヴィスは体内にあるファントムをきつく喰い締め、また同時に自身も脈打たせてしまい――――――・・・・襲い来る激しい悦楽と、達せない苦痛に呻く羽目となる。


「・・・っも、・・・もう、・・・い・・・や、・・だ・・・・・・!!」

「ああ、・・・泣かないでアルヴィス君」


 仰け反って再びハラハラと涙を零し、身体を震わせるアルヴィスに、ファントムは優しげにそう言って苦笑した。


「さっきから言ってるでしょ? 僕がイケるように、アルヴィス君がちゃんと動いてくれないからだよ? アルヴィス君ばっかり、散々イッちゃっててズルイから―――――・・・今度は僕が気持ち良くなる番だよね・・・って。僕が満足するまでイかせてくれたら・・・それ、外してあげるって・・・・・そう言ってるでしょ・・・・?」

「・・・う・・っ、」


 ファントムの言葉に、アルヴィスは涙ぐんだまま悲壮な表情を浮かべる。

 根元の戒めを解かれれば、すぐにでも弾けてしまいそうな自分自身。
 それほどに高められてしまっている状態で、体内のファントムに快感を送るべく、過敏になっている粘膜への刺激を繰り返したら。

 ――――――――どうなってしまうのか、自分でも予測が付かなかった。
 神経が焼き切れてしまいそうな快楽と同時に、それ以上の苦痛がアルヴィスを襲うに違いない。

 だが、ファントムの言葉通りにしなければ、永遠にこの責め苦が続く。

 現状維持する事にも、アルヴィスにはもはや耐えられそうに無かった。


「ね、カンタンな事だよ? ・・・アルヴィス君がちゃんと腰を動かして、中の僕を気持ちよくしてくれればいいだけなんだから・・・・」

「・・・っ、・・・う・・・ぅ・・・・・」

「―――――出来ないと、ずっと苦しいままだよ?」

「!?? ・・・あああっ、・・・・ぅあ・・・・・・!!」


 言われても、グズグズと言うとおりにしないアルヴィスに痺れを切らしたのか。
 ファントムが、ぎゅうっとアルヴィス自身を握りしめてきた。


「ひ・・・・っ、う・・・・・、!!」


 声も出せずに息を詰めて、アルヴィスは身体を硬直させる。


「ココ、・・・もう限界だよね? こんなにビクビク震えて・・・色も濃くなっちゃって・・・・小さなおくちもパクパクしてる・・・・。厭らしい涎(よだれ)もいっぱい出てきてるし・・・・・」

「・・あぁ・・・っ、・・・」

「フフッ・・・・この玩具のリング外したら。あっという間に、イッちゃうよね。・・・・いや、もうこの様子だとイッちゃってるのかな? ・・・出せてないだけだね・・・・」


 身体を硬くしたまま、ぶるぶると声もなく震えているアルヴィスを煽るように。
 ファントムは、アルヴィス自身を眺めながら言葉を続けた。


「ほら、言うとおりにしなくちゃアルヴィス君。 ・・・僕の言うことは、何でも聞かないと駄目でしょう・・・・?」


 するっと、弄んでいた箇所から手を離し。
 ファントムは軽く上体を起こすとアルヴィスに掠めるような口付けをして、笑みを浮かべた。


「・・・・・・・・・・・・・・」


 酷く楽しそうな、悪魔の微笑みだ。
 見つめるだけで、魂が奪われてしまいそうな―――――――・・・魔性の美しさを秘めた微笑。


「・・・・・・・くっ、・・・・」


 激しすぎる快楽と、それと相反する強さで存在する苦痛に責め苛まれながら。
 アルヴィスはきつくきつく、唇を噛みしめた。





 ――――――自分に、選択肢など残されてはいない事を今更ながらに思い知る。

 どんなに承伏しかねることであろうと、・・・・不本意であろうと、従うより他はない。
 望まれたなら、一匹の獣に成り下がり――――――本能のまま浅ましく、快楽を貪る姿を晒さなければならない立場なのだ。






「・・・・・・・・・、」


 観念して、アルヴィスはのろのろとファントムの腿に後ろ手を付き。
 ゆっくりと、折り曲げた足に力を入れて腰を上下に揺らし始めた。


「・・っ、あーーーっ、・・・!」


 途端に内部の粘膜に生じる激しい摩擦に、喰い締めた筈の唇から切ない喘ぎが迸る。


「あっ、・・あっ、あ、あ、・・・・あああっ、・・・・う・・・・・うあぁぁ・・・・・!!!」


 脳を白く灼き尽くすような快感が、出口を塞き止められた体内を駆け巡り、アルヴィスは腰を使いながら啜り泣いた。






 ・・・・辛い。


 ・・・・くるしい。


 気持ちが良すぎて、身体が溶けてしまいそうなのに――――――・・・・塞き止められて、絶頂が迎えられない。


 狭い内襞を一杯に押し広げ、強烈に感じてしまう粘膜の一点を刺激され、擦りあげられて・・・・息が止まる程に気持ちが良いのに――――――イケない。





「あっ、・・・あ・・・・あああぁ・・・・!! んっ、・・・やああっ、・・・あーーーーー!!!」


 柔らかな粘膜が内部を圧迫する存在を引き絞るように、強く収縮を繰り返しそれがまた新たな刺激を生んで、アルヴィスを苦しめる。


「・・・は・・・っ、あ・・・・ああぁ・・・・・・!!」


 体内で生じた、マグマにも似た凄まじい熱が出口を求めてアルヴィスの全身を灼いて荒れ狂っているのに――――――吐き出せないのだ。


「・・・あ・・・んっ、・・・・・・・あああっ、・・あっ、・・・ああ・・・・あっ、・・・!!!」


 苦しさのあまりに時折、ファントムの言葉に反して身体の動きが止まってしまう。
 目の前が真っ白になって息が詰まり・・・・、意識が遠のく瞬間があるのだ。


「―――――――もう無理? ・・・・・外して欲しい? アルヴィス君・・・」


 身体を硬直させ自分の上で荒い息を繰り返すアルヴィスに、ファントムが優しい口調で問いかけてきた。


「じゃあね・・・特別に条件を変えようか」


 柔らかな口調で、そう言って。
 目の前の美しく残酷な悪魔が、キューッと唇の両端を大きく微笑の形に吊り上げる。


「・・・メルのメンバーの誰かの命と、・・・・引き替えに外してあげる」

「・・・・・・・・、・・・・!?」


 一瞬、アルヴィスは何を言われているのか理解出来なかった。

 ただ『メル』という単語だけが混濁しているアルヴィスの脳に、衝撃を伴いながら刻まれる。


「・・・・・・・・・・、」

「ねえ、誰がいいのアルヴィス君? ・・・あのおサルみたいな顔の子? それともダンナの片腕だった、あのオッサン? それとも――――・・・・あの長髪の彼がいい・・・?」


 涙でぼやけた視界の中、目の前の悪魔はクスクスと楽しげな笑みを浮かべてアルヴィスを見つめていた。


「ちゃんと答えてアルヴィス君・・・じゃないと僕、勝手に選んじゃうよ・・・・? 僕が選んでいいの・・・?」

「・・・・・・・っ、・・」


 続けられた言葉にアルヴィスは見る見る内に青ざめ、その顔に絶望の表情を浮かべる。


「・・・・や、・・・やめ、・・・・やめてくれ、・・・・!!」


 やっとの思いで、それだけを口にした。

 冷水を浴びせかけられたかのような寒気が、背筋を這い上がり―――――――アルヴィスの胸を暗く押し潰していく。

 決して身体を繋げているせいでは無く、耐え難い恐怖から・・・・アルヴィスの身体はガタガタと、瘧(おこり)のように激しく震えだした。




 過去の耐え難い記憶が、鼻をつく血臭と共に生々しく脳裏に蘇る。








 ――――――チャント答エテあるう゛ぃす君・・・ジャナイト僕、勝手ニ選ンジャウヨ・・・・?



 ――――――僕ガ選ンデイイノ・・・?





 過去に、言われたことのあるセリフだ。


 ギンタがファントムに敗れ、・・・・・・・・アルヴィスが彼のモノになると約束させられた時の事。

 その時に、この悪魔は笑顔で同じ言葉を言ったのだ・・・・・。








 ―――――――約束したから、メルのメンバーは助けてあげる。だけど、・・・・僕たちに刃向かった奴らを誰も殺さないっていうのは・・・ツマラナイな。


 ―――――――選ばせてあげるよ、アルヴィス君。ソコにいる予選も通らなかった役立たずな爺ィと、メルを応援していた愚かな民衆・・・・どちらを処刑して欲しい?



 爺ィを見捨てれば、多くの人間の命が取りあえず助かるし。

 爺ィを選べば、アルヴィス君が守りたかったメルヘブンの命が多く失われることになるよ。


 どっちがいいかな?


 ―――――――ちゃんと答えて、アルヴィス君・・・じゃないと僕、勝手に選んじゃうよ・・・・?

 僕が選んでいいの・・・?






 そんな選択肢を並べられて、選べる筈も無かったアルヴィスの目の前で。
 世界を掌握した男は、楽しそうにそう言った。


 そして、選べずに苦悩するアルヴィスに。
 自分を手中に収めた悪魔は、アルヴィスにとって最も耐え難い、残酷な選択をしてみせたのだ。







 ――――――――選ぶのも面倒だね。

 どっちも価値なんて無いんだから、殺してしまおう。


 爺ィは、『焼鵝掌(−しょうがしょう−アヒルの水かき焼き)』みたいに、熱した鉄板の上で死ぬまで踊って貰ったら面白いかな。

 愚かな虫ケラどもは、・・・・・・アンダータで適当に100人ほど火山フィールドの煮えたぎる溶岩の上にでも、移動させてみようか。
 きっと面白いくらい簡単に、燃え尽きて跡形もなくなるんだろうね。

 穢れた醜いニンゲン共には、似合いの最期だよ・・・・!!










 ―――――――その後に行われた、言葉通りの惨劇を。
 アルヴィスは生涯、絶対に忘れることは無いだろう。





 耳にこびりつく、断末魔の呻き声。

 噎(む)せ返るように濃い、血と・・・肉の焦げる臭い。

 人間としての尊厳を根こそぎ奪われ、命のない人形のように煮えたぎる溶岩の中へ投げ込まれる人々の姿―――――――・・・身代わりになってでも救いたいと願った大切な存在が、物言わぬ只の肉塊と成り果てていく光景を・・・・余さず全て、見届けたのだから。




 声が、枯れるほど。

 喉が裂け血が出るほど、叫んで。

 頼むからやめてくれと、アルヴィスはファントムに懇願したけれど。


 アルヴィスを後ろから抱き締め、自由を奪った悪魔は決して制止の手を挙げず。
 あまりの惨(むご)たらしさに目を背け掛けたアルヴィスの顎を掴み、処刑の様子を見るように強制してきた。







 ―――――――君が、ちゃんと選ばないからだよ? アルヴィス君。


 ・・・どちらか選んでいたら、片方の命は助かったのにね・・・。






 クスクスと楽しそうに笑っていたおぞましい悪魔の、顔と甘ったるい声が、アルヴィスの脳裏と鼓膜に焼き付いている。








「・・・・・っ、・・・ファン・・トム・・・・・!」


 ほんの、束の間。

 胸中に渦巻く憤怒と嫌悪、そして激しい恐怖感に・・・・アルヴィスは、自分の中で荒れ狂っていた悦楽の波が微かに引くのを感じた――――――――。




 

 




++++++++++++++++++++

言い訳。
あれ・・・今回でこの話、終わる筈だったんですけど、ね・・??(汗)
なんかまた長引いてますy(殴)
つか、エロなのかグロなのか、どっちかに絞れって感じですよね。
訳の分からない話書いて、スミマセン><(汗)
でも、このAntaresシリーズは基本が鬼畜&残酷グロで、多少アダルティー・・・みたいなコンセプト(←?)で書いてますので、終始恐らくこんな感じです^^;
次回こそ、終わりたいですんですが!(笑)
ホントはこの話の後の続きこそ、書きたい部分だったりしますので・・・頑張ります。
ちなみに。
ファントムが文中で口走ってる『焼鵝掌(しょうがしょう)』は、実在した昔の中国の宮廷料理ですよ(笑)
生きたアヒルを熱した鉄板の上で歩かせて、徐々に水かきに火を通していくんだそうです(怖)
それで、もちろんアヒルは死んじゃうんですが、火が通った水かきだけを切り取って食べるという高級料理だったそうな。
残った身体の方は、ポイ捨てで(滝汗)
残酷ですよね><
これが大好物だったという当時の何とかって王様は、反乱にあって処刑されるときこの焼鵝掌と同じやり方で殺されたそうです。
まー、それまでに数え切れないくらいのアヒルさんが犠牲になったんでしょうから因果応報ってヤツなんでしょうかね・・・(汗)